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 「がんとは?」

分科会長挨拶
 
 
 
神谷 誠

羽生総合病院臨床検査部長
医師,医学博士
日本病理学会認定病理専門医
 

 現在,がん患者が,一次医療機関である診療所から,二次医療機関である小中規模病院へ紹介される際,紹介元診療所から紹介先病院へは僅かな患者情報しか伝えられていません.また,がん患者個人が,自らの意思で受診する診療所ないしは病院を変更する場合,患者情報は変更先医療機関へは伝えられません.このため,がん患者は,紹介先ないしは変更先医療機関において,再度同様の検査をされてしまうこととなってしまいます.近い時期に複数回同じ検査を行うことは,医療費の無駄づかいと患者への負担となっているのです.

 また,時として紹介先病院では,紹介元診療所の紹介情報のみを根拠として,再検査を行わずに手術を行う場合も見られます.実際にがんが存在していれば問題は生じませんが,紹介元診療所のいわゆる誤診により,がんの存在しない患者に手術を行ってしまえば,患者は必要のない手術を受けることとなり,医療費の無駄づかいのみならず,患者が多大なる損失を受けることとなってしまいます.

 二次医療機関でがんに対する手術を行った患者が,一次医療機関で術後の経過観察を行われている場合もあります.しかし,この場合も二次医療機関から一次医療機関への,患者情報の提供量は少ないことが多いという現状です.また,一次医療機関で術後経過観察されていたがん患者が再発をきたし,二次医療機関へ紹介される場合においても同様です.いずれの場合においても,提供される情報の不足により,医療費の無駄と患者負担を招く原因となっているのです.

 がん患者が自宅において在宅療法を行う場合も,術後の経過を見守る一次および二次医療機関と患者の家族ないしは患者を看護および介護するものとの間に,密な情報交換を可能とする方法は未熟であり,患者自身および患者を見守る人々の不安は大きいと考えられます.

 この様にがん患者を支える現在の体制は,ネットワーク社会の到来以前の旧時代的なもので,今後のネットワーク社会においては,一次および二次医療機関が連携し,ネットワークを通じて患者情報を共有し合いながらがん治療を行い,更には,がん患者の在宅療法においてもネットワークの普及により,その不安を取り除いていかなくてはなりません.

 また,高度な治療を必要とするがん患者を,三次医療機関へ紹介する場合においても,紹介を受けた三次医療機関の医師が,紹介状のみならず,ネットワークを参照することで,紹介された患者の状態を十分に把握できる環境を構築する必要があります.

 この様な現状を踏まえ,私どもは地域がん対策ネットワーク推進分科会を,日本遠隔医療学会の分科会として設立いたしました.本分科会を通じて,一人でも多くのがん患者が,より良い環境で治療を受けられる日が来ることを信じております.

【企画・編集】日本遠隔医療学会地域がん対策ネットワーク推進分科会
【制作・著作】
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